続いてドライブ 1 の device I/O error を調べます。
ディスクダンプの結果から、サイド 0 は正常でサイド 1 の
アクセス時にエラーとなっていると思われますので、ヘッド・
制御回路周辺を調査します。
ドライブ MDD211 基板搭載面の全景。
基板のベゼル側の端部はフレームの切り欠きに保持され、
中央上下にネジ2箇所、もう一方の端部は金属製のスペーサーと
長ネジで浮かせて2箇所取り付けてあります。
基板のネジを外して浮かし、コネクタを外していきます。
誤接続しやすいヘッドコネクタの接続状態を記録しておきます。
基板を外した後のドライブ。コネクタ類の配置を見ておきます。
外した基板の部品面。薄型ドライブらしく専用LSIで構成され、
標準厚タイプに比して部品点数はかなり少なくなっています。
状態を確認していくと、電解コンデンサ液漏れあり。
これが不調の原因の可能性があります。
このドライブは製造後30年以上経過していることから、
電解コンデンサ劣化は避けられませんので、全て新品交換します。
基板上に電解コンデンサは計 6個あり、容量は左上の C3 が
33μF、他の 5個は 47μFで、耐圧は全て 16V でした。
交換部品調達時の注意として、標準的なものより背の低い、
高さ 7mmタイプが必要です。これは基板取り付け高さの制約で、
守らないと組み付けできなくなります。
適合部品を探したところ、ルビコンの MH7シリーズがぴったり。
耐圧 25V のものを秋月電子で購入できました(10円/個)。
電解コンデンサの新品交換を完了した基板。各部クリーニングと
パターン面全般のハンダ付状態の修正も行い、安定性を高めました。
基板をドライブに取り付けます。コネクタを接続後、ベゼル側の
フレームに基板のエッジをはめ、ネジ4箇所を止めます。
スペーサの組み込みにはピンセットを使いました。
メンテナンスしたドライブをユニットに組み込んで試運転します。
軽快な動作音とともにリトライなく既存ディスク読込OK。
フォーマット・コピー・ベリファイも規則正しい動作音で
正常動作するようになりましたので、サイド 1 リードエラーの
原因は電解コンデンサの劣化であったと思われます。
この後、同様の劣化が推測されるドライブ 0 側の電解
コンデンサも新品に交換しました。
これでこの MP-3560 もしばらく安定稼動するかと思います。
以上、本レポートが皆様のお役に立ちましたら幸いです。
2019年06月15日
日立 MP-3560 修理(1-2) 正しく読めない
posted by 旧コン at 00:30| Comment(0)
| フロッピーディスクドライブ修理
2019年06月13日
日立 MP-3560 修理(1-1) イジェクトできない
しばらくレベル3で楽しんでいましたが、久しぶりに MB-S1/10 を
出して動かしたところ、外付のミニフロッピーディスクドライブユニット
MP-3560(5.25インチ 2D)の動作がおかしいことに気づきました。
具体的には以下の2点。
(1)ドライブ 0 は正常に読み書きできるものの、取り出しボタンの
動作がスムーズでなく、何度か出し入れしているうちに、フロッピー
ディスクを取り出せなくなった。
(2)ドライブ 1 は読める時と読めない時がある。エラーとなる時は
何度かリトライ後 device I/O error が発生。
DISK BASIC ユーティリティのディスクダンプを使用して調べたところ、
シリンダ値が大きくなると error になるので、サイド 1 が正しく
読めないよう ・・・症状が重そうです。
まずは MP-3560 の整備資料をネット上で探しましたが、見つからず。
なお L3用の MP-3550 のサービスマニュアルはありました。内部機構が
異なるため今回は利用できませんでしたが、あること自体が貴重ですね。
気を取り直して MP-3560 のケースを外し、中を見てみます。
分解後の再接続時に困らないよう、ドライブのコネクタ接続状態を
確認しマークしておきます。
フロントパネルは下側を軸にしたはめ込み式です。この後、パネルに
はめ込まれているパワーインジケータ LED を外しますが、固めなので
細いマイナスドライバ等でツメを開きながら引き抜きます。
ドライブ下側のマウントネジを外すにはキャップカバーを開けます。
ドライブ上下のネジを外すと本体が分解してしまう(後部は上下
はめ込みになっている)ので、気をつけながらドライブを手前に
引き出します。もしかすると1ドライブずつ交代で修理すべき
なのかも知れません。
取り出したドライブはベゼルを外し、2台並べてみます。
ドライブの形式は Canon MDD211 です。
ドライブモーター側:
ヘッドロードメカ側:
概要を掴んで、まずはドライブ 0 の取り出しボタン問題に取り組みます。
両ドライブのディスクロード・イジェクトレバーの動作を比較検討したところ、
レバーをロックする部分の状態に差を発見。
ドライブ 0 のレバー部
ドライブ 1 のレバー部
わかりますでしょうか。グレーのツメの根元から横に出ている
細いバネの端が、隣の小さなカム(銅色の L字板)に当たるか
どうかで、ツメの動きを規制してイジェクト可/不可を切り替えて
います(繊細!)。
両ドライブともヘッドアンロード状態ですが、ドライブ 1 は
このカムが下にあってイジェクト可能なのに対し、ドライブ 0 は
カムが上がっていて、イジェクトできない点が異常と思われます。
このカムは、ディスクアクセス時にヘッドロードプレートが
押すことで動きますので、その駆動部を見てみます。
ドライブ 0
ドライブ 1
わかりました。
ドライブ 1 はソレノイドがヘッドロードプレートを押す部分に
ゴムブッシュがついていますが、ドライブ 0 ではこれがなくなって、
プレートがソレノイド側に傾いています。
このためプレートが下がってヘッドロード=イジェクトロック
状態になっていると思われますので、このゴム部品を取り付けます。
用意したのはケースでおなじみ、タカチの貼りゴム足、高さ 1.8mm。
千石電商で購入です。
プレートのソレノイドに押される部分が垂直となるよう、ゴム足を
取り付けます。
これによりプレート全体が水平となり、ドライブ 0 のイジェクト
機能が回復しました!
ドライブ 1 のこのゴム部分も同様に劣化していると思われますので、
こちらも交換しておきます。
これでドライブ 0/1 のイジェクト機構のメンテナンスが完了しました。
続いて(2)ドライブ 1 の I/O エラー調査に取り組みます・・・
posted by 旧コン at 00:30| Comment(0)
| フロッピーディスクドライブ修理