2019年09月29日
チャイナ・シンドローム / アスキー出版 MB-6890 LEVEL3 BASICゲームブック
日立からベーシックマスターレベル3が発売された翌年の
1981年、ASCIIから「MB-6890 LEVEL-3 BASICゲームブック」
という本が出版されました。
これは L3 BASIC によるゲーム系のソフトウェア集で、
プログラム解説とソースコードが掲載され、カセットテープ
No.1 が付属していました(カセット No.2-4 は別売)。
掲載内容は他機種からの移植も多かったのですが、L3 の
解説書としては初期のもので、一般書店でも販売されたため、
手にしたユーザも多かったと思います。
縁あってこのゲームブックのカセットテープを頂く機会が
ありましたので、印象に残っているタイトルを再確認したいと
思います。
・カセット No.2 より "China Syndrome"
今回は写真のような MB-6892 レベル3マーク5システムで
実行しました。
38年前のテープソフトながら問題なく一度で LOAD でき、
改めて L3 の信頼性の高さに感心しました(600bpsの威力?)。
なおカセットレコーダの TRQ-359 はドライブベルト交換
などのメンテナンスを実施済です。
チャイナシンドロームを実行中の MB-6892 L3 MARK5
チャイナ・シンドロームとは 1979年に公開された米国映画の
名で、事故によって米国原子力発電所で燃料のメルトダウンが
起こり、それが暴走状態となって地中を深く溶かし、最終的に
地球の反対側(中国)にまで危機が及ぶ可能性を指した言葉だ
そうです。
この L3用ゲームは、原子力発電所の操作シミュレータで、
加圧器や圧力開放弁、制御棒を操作し、度重なるトラブルに
うまく対応して発電量を確保すれば良いスコアを得られ、
ミスすると解雇や最悪メルトダウンを起こしてしまう、という
なかなかシリアスな設定になっています。
タイトル画面
L3標準装備のひらがなによる操作説明は読みやすい。
運転開始
いろいろトラブル発生
プレイして思ったのは、こんなにトラブルが起こるもの
なのか、ということと、その対応の難しさです。
もちろんゲームゆえイベントが多く設定されていると
思いますが、安定して発電を続けるには相当な技量が
要求されます。
魅力的なところは、L3のグラフィック機能を活かした
画面のきれいさで、精密感のある発電所の模式図を確認
しながらの操作は本格的です。
そしてこのソフトの何よりもいいところは、ユーザが
原子力発電所の操作に触れて、その基本構造を理解できる
(せねばならない^^)点でしょう。
このゲームの作者はこの分野の専門家か、相応の知識人
であっただったろうと推察します。
この頃のパソコンは高価な上に、利用に必要なハード・
ソフトの自作が求められたので、必然的にスキルの高い
ユーザ層が中心になり、作り出されるソフトウェアも、
高度なものが多かったように思います。
今 L3を使って改めて感じるのは、技術の進歩によって
コンピュータの量的な水準は飛躍的に拡大されましたが、
ソフトウェアの内容面はそれほど進歩していないかも
知れない、ということです。
この点、当時のユーザ層の知的好奇心によって開発・
提供されたオリジナリティの高いソフトウェアは、
今もってその価値を保っているように思います。
今回久しぶりにチャイナシンドロームをプレイして、
原子力発電所のオペレーションをゲームにアレンジした
作者の知識とセンスに敬意を表すると同時に、果たして
今、このような存在感あるソフトウェアを自分が作れる
か、自問する次第です。
メルトダウン・・・
posted by 旧コン at 20:00| Comment(0)
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