日立パーソナルコンピュータ BASIC MASTER シリーズ
----- 初代 ベーシックマスター シリーズ(レベル1/レベル2/ジュニア)本体一覧 -----
・日本初のパソコン(1978年発売)。購入後の組み立て等は不要で、テレビに接続すればすぐに BASICを利用できるのが特長。プリンターやフロッピーディスクなどの周辺機器も提供された。
・登場の背景
1970年代後半に汎用 8bit CPU(8080/6800等)を採用したワンボードマイコン(NEC TK-80, Hitachi H68/TR等)が発売され、ホビー・研究用に人気を博していた。
この頃のプログラミングはマシン語が中心だったが、人の使う自然言語に近い "高級言語" はプログラミングのしやすさで定評があり、中でも BASIC は次世代の本命と見られていた。
ワンボードマイコンで BASICを利用するには BASICインタープリタ(ROM)とフルキーボード、TVインターフェース等を拡張する必要があり、取扱性の面でも実用的ではなかった。
その中 1978/9 に、誰でも手軽に BASIC を使える日本初の家庭用コンピュータとして、HITACHI BASIC MASTER MB-6880 が発表された。
金属製の筐体に日立製 BASIC とフルキーボード、TV/カセットインターフェイス、日本語キャラクタジェネレータ(カタカナ)、スピーカー等を備え、テレビにつないで電源を入れると BASIC インタープリタが起動する完成品となっており、一般家電店で販売された。
システムとして周辺機器(ディスプレイ/プリンタ/カセット/フロッピーディスク等)も発売され、メーカーによるプログラムコンテスト開催や家電店でのサポート提供など、パソコン文化の普及に貢献した点は特筆に値する。
上位モデルのレベル3発表後、本シリーズは Jr.(ジュニア)として初心者向けにマイナーチェンジして低価格化され、BASIC/マシン語プログラミングの教育用途にも展開された。
・基本仕様
CPU:モトローラ 6800/0.75MHz, Text:32*24chr, Graphic:64*48/(Jr.:256*192)
形式 製品名 | 発売年月 価格 | 説明 | ROM RAM(Std/Max) | 内蔵機能, I/F |
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MB-6880 BASIC MASTER (LEVEL1) | 1978/9 188,000 | 日本初のパソコン(8bit) | 8KB(整数型BASIC/モニタ) 4KB/32KB | HITACHI BASIC V1.0, Video(複合/RF), カセット(300bps), 外部拡張(ボードエッジ), スピーカ内蔵, 付属:電源アダプタ(MP-10)/カセット接続ケーブル |
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MB-6880L2 BASIC MASTER LEVEL2 | 1979/2 228,000 | BASIC ver.up 浮動小数点演算対応 | 16KB(L2BASIC/モニタ) 8KB/32KB | (6880+) HITACHI LEVEL2 BASIC, 8KB RAM |
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MB-6881 BASIC MASTER LEVEL2II | 1979/11 148,000 | 価格改定 キーボードエリア配色変更 | 16KB(L2BASIC/モニタ) 16KB/32KB | (MB-6880L2+) 16KB RAM |
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MB-6885 BASIC MASTER Jr. | 1981/12 89,800 | 筐体/キーボード変更 高解像度グラフィック(256*192 2pages 8色/chr)対応 I/Oアダプタ内蔵 カラーアダプタ対応 | 16KB(L2BASIC/モニタ) 16KB/64KB | 電源内蔵, ステップスカルプチャキーボード, Video(分離/複合), プリンタ, カセット, 外部拡張(アンフェノールコネクタ), カセット接続ケーブル付属 |
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MB-6885T BASIC MASTER Jr.(TURBO/後期型) | 1982 89,800 | 高速カセットROM(MP-9730)標準装備 | 16KB(L2BASIC/モニタ) 16KB/64KB | (MB-6885+) カセット(300/1200bps) |
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----- ベーシックマスターレベル3シリーズ 本体一覧 -----
・日本初の本格的汎用パソコンシステム
初代ベーシックマスター発表後のマイコン環境の飛躍的な発展を背景に、ホビー・ビジネス要求に応える汎用パーソナルコンピュータシステムを目指し、高い処理性能・表示能力・拡張性・外部連携性を備える製品として開発された。
・主な特長
MPU:8bit 最高峰とされる高機能 MPU モトローラ 6809を日本初採用
BASIC:定評のあった Microsoft BASIC を 68系に世界初搭載(coded by Bill Gates)
高解像度:その後業界標準となる高解像度カラーグラフィック(640*200dot)を標準装備
日本語:ひらがな表示を標準装備、漢字表示にもオプション対応
通信機能:RS-232C とターミナルモードを標準装備し、外部通信や制御用途に対応
システム連携:標準8インチフロッピーディスクをサポートし、汎用機との連携に対応
入力装置:ポインティングデバイスとしてライトペンを採用しキーボードレス操作に対応
拡張性:拡張カード6スロットと強力な電源を備え、多様な拡張に対応
ビジネス対応:表計算ソフト BMCALC.と漢字プリンタによる日本語ビジネス処理環境を提供
汎用性:64KB RAMモードや OS-9(オプション)など BASIC以外の利用環境も提供
・基本仕様
CPU:6809/1MHz, ROM:24KB(Microsoft HITACHI LEVEL3 BASIC), Text:80*24chr(8色/chr), Graphic:640*200(8色/8dot)/640*400i(日本語)
形式 製品名 | 発売年月 価格 | 説明 | RAM(Std/Max) | 内蔵機能, I/F |
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MB-6890 BASIC MASTER LEVEL3 | 1980/11 298,000 | 初代L3 バインダー式説明書 | 32KB/64KB (16KBスロット*2) | Microsoft L3 BASIC, Video(RGB/Mono), カセット(600bps), プリンタ, ライトペン, RS-232C, 拡張スロット(L3Bus*6), 拡張ROMソケット(8KB*1), スピーカ内蔵, カセット接続ケーブル付属 |
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MB-6891 BASIC MASTER LEVEL3 MARKII | 1982/4 198,000 | 価格改定 配色/キーボード変更 カセット高速化 製本説明書 | ↑ | (MB-6890+) ステップスカルプチャキーボード, カセット(600/1200bps) |
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AB-6895 BASIC MASTER LEVEL3 MARKII-A | ↑ | MB-6891の業務用機 | ↑ | ↑ |
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MB-6892 (MB-6892A) BASIC MASTER LEVEL3 MARK5 | 1983/4 118,000 | 価格改定 筐体小変更 RAM追加 IG搭載 | 64KB/128KB (64KBスロット*1) | (MB-6891+) IG 256chr(8色/dot), 64KB RAM, VideoMonoコネクタ変更(DIN4), 拡張ROMソケットなし, RS-232Cコネクタレス(オプション), IGユーティリティ/BMCALC(表計算)/LOGOソフト付属 |
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----- ベーシックマスター16000シリーズ (16bit) -----
日本初の MS-DOSパソコン, IBM PC/AT 互換, AX対応。
IBM PC との互換性を考慮し、CPU に i8088 を採用。MS-DOS や各種言語を利用可能となっていた。
レベル3に 16bitカードを追加することで本シリーズのソフトウェアを利用可能であった。
表示能力の高さから業務用 CADシステムとして長く使われた。
・BASIC MASTER 16000 基本仕様 CPU:i8088/4.77MHz, VRAM:192KB, Text:80*25chr, Graphic:640*400i(15色中8色/dot)
形式 製品名 | 発売年月 価格 | 説明 | OS RAM(Std/Max) | 内蔵機能, I/F |
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MB-16001 BASIC MASTER 16000 | 1982/5 490,000 | 日立初の16bit機 | MS-DOS1.25 128KB/384KB | Video(RGB/Mono), FDD(2D)*1, プリンタ, ライトペン, RS-232C, 拡張スロット*5 |
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MB-16003 | 1982/5 650,000 | 16001の上位モデル | MS-DOS1.25 256KB/384KB | (16001+) FDD(2D)*2, 256KB RAM |
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MB-16006(MB-16006A) | 1983 520,000 | フォント ドットピッチ改良 | MS-DOS2.0 128KB/640KB | (16001+) Font ver.up ROM |
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MB-16007(MB-16007A) | 1983 680,000 | 16006の上位モデル | MS-DOS2.0 256KB/640KB | (16006+) FDD(2D)*2, 256KB RAM |
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