2020年03月14日

日立 MP-3560 修理(2-2)

 ドライブを外す際は念のため、ドライブ番号(0/1)を
記しておきましょう。
 改めて外したキヤノン MDD211 を観察してみます。

・ドライブモーター側
 錆や固着等はないようでした。
 長年の汚れを取り除き、軽く注油しておきます。
DSC_4500s.jpg

・ヘッドメカ側
 メンテナンスはこのサイドが主となります。
 DSC_4498s.jpg

 ドライブ内基板のネジ・スペーサーと上部コネクタを外し、
基板を浮かせてコネクタ類の接続を確認。特に写真右下の
ヘッドコネクタは間違えやすいので、記録します(緑色配線:下、
コネクタピン面:上)。
dsc4501s.jpg

 ヘッドコネクタを取り外し、基板の部品面を確認。
dsc4503s.jpg

 基板を外して観察すると、やはり電解コンデンサが液漏れし、
周囲のパターンにも少し腐食が見られました。
dsc4506s.jpg

 電解コンデンサは全て交換するため取り外します。規格は耐圧 16v、
容量は C3:33uF, C5/C6/C7/C8/C9:47uF です。
 腐食しているパターンははがれやすいので、取り外し時に傷めない
よう注意します。破損した場合はコンデンサの足を延ばして、その先と
バイパス接続しておきます。
dsc4508s.jpg

 交換用の高さ 7mm コンデンサは前回同様に秋月電子でルビコンの
MH7シリーズを購入。耐圧 25V、10円/個です。

 新品のコンデンサを極性を間違えないように取り付ければ基板の
修理は完了。基板上にコンデンサ極性が記載されているので助かります。
dsc4509s.jpg

 基板修理はもう1台のドライブ分も同様に実施します。

----- フロッピードライブ修理(2-3)に続く -----

2020年03月12日

日立 MP-3560 修理(2-1)

 前回修理したミニフロッピーディスクドライブ MP-3560 は
その後も順調に動作しています。

3560-1.jpg

 そこで、ジャンク状態で保管してあった、もう1台の
MP-3560(2台目と呼びます)も修理してみたいと思います。

 前回で学んだ修理ポイントは下記2点でした。

(1)フロッピーディスクがイジェクトできなくなる
 原因:ヘッドロードソレノイド部のゴムブッシュが劣化/欠落し、
    アンロード時にヘッドが上がり切らない

(2)読み書き時に Device I/O Error となる
 原因:ドライブ内制御基盤上の電解コンデンサ劣化

 これらは MP-3560 に使われているドライブ Canon MDD211 に
共通する経年劣化と考えられるため、同様の対応が必要と思われます。

 ドライブ取り出しのため、早速分解していきます。

・取り外し:トップカバー、電源ボタン、フロントパネル、ドライブベゼル
DSC_4538s.jpg

(1)ドライブベゼルの修復
 ベゼルはドライブに上下2本ずつのネジで取り付けてありますが、
プラスチックが経年劣化して取り付け部が細かく割れていて、
フロントパネル取り外し時に一緒に外れてしまいました。

 この状態だと再取り付けしにくいのと、破片が散逸しそうなので、
まずベゼルの修復を行います。
 パズルさながら試行錯誤して破片を組みあわせ、不足部分は
プラ板で補って、なんとか元の取り付け部の形に整形します。

 このプラスチックは瞬間接着剤では着かず、弾力性のある
ゴム系接着剤(速乾ボンドGクリア)を使いました。

・修復したベゼルの取り付け部。下側もあるため計4箇所行い、
結構時間がかかりました。
DSC_4545s.jpg

・ドライブ取り外し後、全体の構成
 ドライブのネジを外すとフレームは分解しそうになるので
要注意。
DSC_4532s.jpg

 目的のドライブ2つを外しましたので詳細チェックに入ります。

----- フロッピードライブ修理(2-2) に続く -----

2019年06月15日

日立 MP-3560 修理(1-2) 正しく読めない

 続いてドライブ 1 の device I/O error を調べます。

 ディスクダンプの結果から、サイド 0 は正常でサイド 1 の
アクセス時にエラーとなっていると思われますので、ヘッド・
制御回路周辺を調査します。

 ドライブ MDD211 基板搭載面の全景。
 基板のベゼル側の端部はフレームの切り欠きに保持され、
中央上下にネジ2箇所、もう一方の端部は金属製のスペーサーと
長ネジで浮かせて2箇所取り付けてあります。
 3560-b1.jpg

 基板のネジを外して浮かし、コネクタを外していきます。
 誤接続しやすいヘッドコネクタの接続状態を記録しておきます。
 3560-b2.jpg

 基板を外した後のドライブ。コネクタ類の配置を見ておきます。
 3560-b3.jpg

 外した基板の部品面。薄型ドライブらしく専用LSIで構成され、
標準厚タイプに比して部品点数はかなり少なくなっています。
 3560-b4b.jpg

 状態を確認していくと、電解コンデンサ液漏れあり。
これが不調の原因の可能性があります。
 3560-b5.jpg

 このドライブは製造後30年以上経過していることから、
電解コンデンサ劣化は避けられませんので、全て新品交換します。
 基板上に電解コンデンサは計 6個あり、容量は左上の C3 が
33μF、他の 5個は 47μFで、耐圧は全て 16V でした。

 交換部品調達時の注意として、標準的なものより背の低い、
高さ 7mmタイプが必要です。これは基板取り付け高さの制約で、
守らないと組み付けできなくなります。

 適合部品を探したところ、ルビコンの MH7シリーズがぴったり。
耐圧 25V のものを秋月電子で購入できました(10円/個)。
 3560-b6.jpg

 電解コンデンサの新品交換を完了した基板。各部クリーニングと
パターン面全般のハンダ付状態の修正も行い、安定性を高めました。
 3560-b4.jpg

 基板をドライブに取り付けます。コネクタを接続後、ベゼル側の
フレームに基板のエッジをはめ、ネジ4箇所を止めます。
 スペーサの組み込みにはピンセットを使いました。
 3560-b7.jpg

 メンテナンスしたドライブをユニットに組み込んで試運転します。
 3560-b8.jpg

 軽快な動作音とともにリトライなく既存ディスク読込OK。
 フォーマット・コピー・ベリファイも規則正しい動作音で
正常動作するようになりましたので、サイド 1 リードエラーの
原因は電解コンデンサの劣化であったと思われます。
 3560-b9.jpg

 この後、同様の劣化が推測されるドライブ 0 側の電解
コンデンサも新品に交換しました。
 これでこの MP-3560 もしばらく安定稼動するかと思います。

 以上、本レポートが皆様のお役に立ちましたら幸いです。